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《降谷夢》bonheur {R15}

第73章 隻眼




『あそこにいる隻眼の男性…
大和警部が、雪崩に遭った日に何かを目撃したというのは、本当なんですよね?』


高「えぇ、しかし彼はその時の記憶が無いようなので…」

『そうですか…。』

高「フッ、やはり貴方も事件のことが気になるようですね?未だ現役の警察官のようだ。」

『い、いえ…そんな…
私はただ早く犯人を捕まえて、脅威を払いたいだけで…』


高「勿論それは承知していますが
貴方のように、強く気高く、聡明な方は警察官に向いていると思います。」


『…私はそんな立派な人間じゃありませんよ。』





もし私が優秀な警察官だったら…


上司の前田さんが死ぬことだってなかった。



私が未熟なせいで、1人の命を奪ってしまった…



あんなに辛くて苦しくて、悲しい思いは
もう2度としたくない…


過去のことを思い出すだけで胸が痛む弱い私は
警察官には向いてないんだから。







高「…申し訳ありません、
何か辛い出来事を思い出させてしまいましたね。」


『っ、いえ…、気にしないで下さい。
…じゃあ、そろそろ失礼しますね?』


高「…。"人生は、困難との戦いの連続である。"」

『え…?』





…それは、諸葛孔明の有名な言葉。



でもなぜ、今それを言われたのかが分からない…。






高「困難を乗り越えることで、人はより強く、賢くなり、人間として成長することができます。
あなたが過去にどのような経験をしたのか、私は存じ上げませんが……、若山さんには、大切にしたい…、そして守りたいと思える人が大勢いる…、そうですよね?」



『はい…』



高「過去の辛い出来事があったからこそ
あなたはそう思うのでしょう?
時には過去を振り返って、悔いる事も大切ですが…
自分を責めて暗い顔ばかりしていると
あなたのご主人に叱られてしまいますよ?」




…諸伏警部の言う通りだ。




私が人を守る仕事に就いているのも
公安の協力者になったのも…




もう私の周りから、誰1人として居なくなってほしくないからだ。







愛する夫である零くんは、
絶対に失いたくない存在で…




私が1人で無茶したり
抱え込んだりした時は必ず叱ってくれる…




いつも私を見守ってくれているから、私は強くいられる。







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