第73章 隻眼

『納得してくれたかな？探偵くん？』

「うん…、まぁ…、
やっぱり美緒さんは自分のことより
他の人を気にしてばっかだなーって思ったけど。」


『んー…、それはそうだよ。』





私の周りにいる人達…


大切なみんながいてくれるおかげで、今の私があるんだから。



誰もいなくなって欲しくない…
傷ついて欲しくない…



みんなが元気で日々を過ごしてくれることが私の願いだ。






『確かに私は無茶なことばっかりしてきた…
自覚はしてるし、自粛もしてるつもりだけど…
これからも無茶をする時はきっとある。』


「…。」


『でも、みんなが大事なのと同じで
自分のことも…、ちゃんと大事にしようって思ってるよ。』





…そう思えるようになったのは、零くんのおかげ。



零くんは、私が怪我をしたり、危険な事をすると
怒る時が多いけど……すごく悲しそうな顔もするから…。


上司だった前田さんが亡くなってから
しばらくの間は怪我とか全く気にしてなかったけど、




好きな人を…私のことで悲しませたくない…




その強い思いのおかげで、自分を蔑ろにしなくなってきたんだ。





『もちろん、コナンくんや蘭ちゃん達も
私の大事な人に含まれているからね？』


「うん…。ありがとう、美緒さん。」

『じゃあ話はこれでお終いね？
みんなのところに行こっか。』





コナンくんに自分の気持ちを話せて
少しスッキリした私は、小さな探偵くんと横に並んで
気分よく歩き出した。