第73章 隻眼

「美緒さんは公安の協力者として
長野に来たんだよね？
一体何をお願いされたの？」

『え…、聞きたいことってそれ？』

「うん、本当は事件のことで色々聞いてると思うけど
それは聞いたところで教えてくれないでしょ？」

『まぁ…そうだね…。』


「だからせめて理由を知りたいんだ。
そうすれば僕も、美緒さんの力になれるかもしれないからさ。」


『そっか、ありがとう、コナンくん。』





やっぱりコナンくんは、とても頼りになる子供だ。


零くんも以前コナンくんに頼ってた時があったし
今回は風見さんも、知恵を借りようとしている…



…以前、零くんが言ってた意味が分かったよ。





『ほんと…君は恐ろしい子だね？』

「ううん、僕はただの小学生だよ？」

『ふふっ、見た目はね。
…じゃあ、コナンくんには特別に教えてあげる。
私が長野に来たのは……もう鮫谷警部のような
犠牲者を1人も出さず、護るためだよ。』



「それって…、やっぱり雪崩事故が関係してるの？」


『うん…。
鮫谷警部は雪崩事故を調べていて殺害された…
その事故に関わってる大和敢助警部も
狙われる可能性が高いから…。
あとは友人の頼みで、諸伏警部のことも
守ってあげて欲しいって言われてるの。』


「それは諸伏警部の弟さん、だよね？」


『っ、全くもう…よく調べてるね？その通りだよ…』




…以前零くんのことを探っていた時に
私達同期のことも一緒に調べたのかなぁ。





『私の友人の諸伏くんね、昔からお兄さんのことすごく尊敬してるの。
何度も嬉しそうに話してくれたし…
お兄さんの諸伏警部も…、彼のことをすごく大切に思ってる…

そんな風に、お互いのことを大事にしてる2人を見てきたから
力になってあげたいって思ったの。』





長野と東京…

簡単に会える距離じゃない分
諸伏兄弟の絆は強いのかもしれない。


私には兄弟はいなかったから
2人が常に信頼し合ってるのが眩しく見えて…


それは絶対に無くなって欲しくない…
永遠に続いて欲しいと思うくらいだから。