第73章 隻眼
ーー…その後、レーザー棟での見学を終えた私達は、越智さんの運転する車で、夜ご飯のバーベキューをする為
キャンプ場へと移動することになった。
越「キャンプ場は未宝岳にあるからね。」
「「「は〜い!!!」」」
未宝岳…
大和警部が雪崩にあった場所か。
外を見ると、だいぶ日が暮れかかってきていて
山道の道路脇に積もっている雪が夕陽によってキラキラと反射し、私はその景色を楽しんでいた。
…でも、私の隣の座席に座っているコナンくんは
スマホを弄っていたようだけど、ハッとした表情になり、
また何かを企んでいるのか、私のコートの袖を引っ張って、耳打ちをしてきた。
「美緒さん、お願い。ちょっと協力して?」
『…。今度は何する気…?』
「あのね…、…………」
『まぁ…、それくらいなら…』
思ったよりも面倒くさくない頼みだったから
協力することに同意すると、コナンくんは声を上げた。
コ「越智せんせー!ボクちょっとトイレー!」
「「「えぇー?!」」」
コ「こ、困ったなぁ…、キャンプ場までは
まだ少し距離があるし……、我慢できないよね…?」
「うーんっ、漏れちゃいそう〜〜〜!!」
…股を押さえてリアルな演技をするコナンくんに呆気にとられつつ、私はコナンくんに頼まれたことを実行した。
『あのー、この近くに山梨刑務所がありますよね?
そこには差し入れを買うお店があったはずですから…
きっとトイレもあるんじゃないでしょうか…?』
「そうですね…!では一度山梨刑務所に寄りましょうか!」
『ありがとうございます。』
…良かった、上手くいった。
コナンくんに頼まれたのは、山梨刑務所に寄ること。
そこには毛利さんもいるらしいから
少しだけ顔を見たい、と言ってたけど…
…絶対、事件絡みとしか思えなかった。