第72章 多幸
その後もしばらくみんなでわいわいお酒を飲みながら
話をしたりゲームをしたり過ごし、
用意していたケーキをみんなで食べ終えた頃には
だいぶ時間が経っていたので、お開きの時間となった。
『翔ー、そろそろみんな帰るから
玄関までお見送りに行こ?』
「えーっ!もっとみんなとあそびたいっ!」
松「また今度遊びにくるから、な?」
萩「今度は光莉も連れてくるから一緒に遊ぼうな。」
「ぜったいだよ!?またすぐに来てね!」
諸「あははっ、翔の笑った顔
美緒ちゃんにすごく似てるね?」
『え…?そう…かな?』
自分の笑った顔なんてあまり見ないから分からないけど
他の人から見たら似てるんだ…。
何だかくすぐったい気持ちだけど、
似てる、と言われると嬉しい気持ちになった。
伊「つーか翔。さっきの話だけどよ、
お前本当に欲しいもの無かったのか?
少し前までは俺達にあれが欲しいこれが欲しいって
すげぇリクエストしてきてたじゃねーか。」
そうなんだよね…。
翔はみんなに可愛がられているから
それを分かってるのか、かなりのおねだり上手なんだ。
「えっと……本当はあるんだ、ほしいもの。」
『そうなの?
じゃあ私明日休みだから買いに行こっか!』
「ちがうよママ!僕ね…妹が欲しいんだ!!」
「なっ…」『い、妹…!?』
翔の言葉を聞いて
私と零くんは2人揃って顔が真っ赤になり
みんなは口元を手で押さえ肩を震わせて笑っている。
『えっと…な、なんで妹が欲しいの…?』
「保育園のお友だちがね!
妹ができてお兄ちゃんになったんだって!
だから僕もなりたい!」
…目をキラキラさせながら私にお願いする翔を見ていると
とてもダメだなんて言えそうにない……。