第71章 懸命
『零くん。』
「どうした?」
『SITの服、すごく似合っててカッコいいね。』
「っ、ばか…僕は何着ても似合うんだよ。」
『ふふっ…相変わらず自己肯定感高い。』
急にそんな事を言われるとは思ってなかったのか
零くんは頬を赤く染めながら私の頭を優しく撫でた。
彼の手はいつも暖かくて
頭を撫でられるだけであったかい気持ちになりすごく落ち着く…
と思っていると、
『っ、いたたた…!いたいー…!!」
だんだん痛みが強くなってきた様な気がして
繋いでいた零くんの手をギュッと強く握りしめた。
「もうすぐ病院着くから…頑張れ、美緒。」
零くんと車を運転してくれている風見さんに励まされていると産婦人科の病院に到着し、零くんに支えられながら病院の中に入った。
そして今の状態を確認する為、私は1人で診察室に入り
零くんには一旦外で待ってもらっている。
看護師さんに手伝ってもらいながら病院着に着替えベットに横になり、女性の助産師さんに診察されると、その人の表情が少し曇ったことに気づいた。
「若山さん、落ち着いて聞いて下さい。
今あなたの赤ちゃんが少し弱ってきています…なので経膣分娩の予定でしたが、緊急帝王切開に切り替えます。」
『え…弱ってきてるって……
大丈夫なんですか!?赤ちゃん無事ですよね!?』
…そんな……
落ち着けと言われても落ち着けるわけがない。
せっかくここまで大事に守ってきたのに
弱ってきてるなんて言われて、私は焦る気持ちを抑えられなかった。