第31章 途絶えた知らせ
(どうしたんだろう?)
それまで度々届いていた、テンゾウさんからの手紙が途絶えた。最後に会ってからしばらく経ったように思う。
手紙は不定期に届いていた。
任務で訪れた場所の印象や、食べたものなどが、会えそうな日付と一緒に簡単に書き添えてあるもので、時には、兵糧丸続きで堪えたなんてことも書いてあったりした。
任務に関わることだから、細かくは書いていない。それでも、テンゾウさんが居た場所の空気が感じられて嬉しかった。
(忙しいのかな…)
(それとも…何かあったんだろうか)
自宅にいる内は、度々ベランダに目を向けて、マシロとは別の白い鳥が来ないか気にしている。しかし朝も夕方も、鳥が舞い下りる音は聞こえなかった。
*
中忍選抜試験は、第一の試験、第二の試験と進み、今は予選通過者が本戦へと向かって準備中だ。
くノ一教室の卒業生は、残念ながら予選で敗退してしまったが、ナルト君、サスケ君は出場予定で、二人とも各々修行を続けている。
今日は休みだったのもあり、私は午前中に木ノ葉病院へと向かった。病院にはヒナタちゃんがいる。
ヒナタちゃんは、第二の試験の予選で大怪我をしていた。一対一の対戦で、彼女の従兄弟である日向ネジ君と当たったのだ。
彼は一年先輩であり、また彼女の一族が持つ瞳術や体術の一番の遣い手だった。引かずに食らいついていたと聞いた。けれど、ネジ君の容赦のない攻撃で倒れてしまったのだと言う。
何度か足を運んでいたが、そろそろ退院と聞き彼女の病室を訪ねてみた。
扉をノックすると返答があったから、扉を少し開けて病室をひょいと覗き込む。
「あ、ナズナ先生…」
ヒナタちゃんがベッドの傍で振り返る。
もう既に身支度は済んでおり、退院するようだ。
「もう帰るところ?ちょっと間が悪かったかな」
「あ、あの…予定より少し早く帰っていいって言われて…後は家で休むようにって」
「そう。体の調子はどう?顔色も大分良くなったね」
ヒナタちゃんがこちらに体を向けた。
両手に手荷物を持ったまま、彼女は顔を綻ばせた。
「はい。ご飯も、ちゃんと食べられるようになりました」
「そっか。良かった…」