第29章 奮起
一週間後、中忍選抜試験が始まった。
ナルト君を始め、彼の同期生たちがこぞって担当上忍の推薦を受け、参加すると聞いている。
彼らは、受験資格の最低条件のみの初参加者、「ルーキー」だ。通常は、下忍として倍以上の経験を積んでから、受験することが多いため、そんな風に呼ばれる。
だが、今回は、木ノ葉隠れの里が誇る数々の秘伝忍術を継承する一族の子が集まっていた。だからなのか、いつもより多くの新人が受験するようだ。
*
「え?お母さんも中忍選抜試験のサポートするの?」
私の母は医療忍者で、医療班に所属している。今回の実技試験に裏方で参加するらしい。
「そうよ。まだ先の話だけどね。第二の試験からかしら」
「そうなんだ。一対一の対戦からってこと?」
「そうそう。今回はどうなるかしらね」
夕食後、お茶を飲みながら母と話をしている。所属が違うと、新たな情報を得ることが出来てありがたい。
「そう言えば、ナズナ。あの連絡鳥どうしたの?」
母が思い出したように話題を変える。
「知り合いの人から預かってるの。家を空けることが多いから、世話が出来ないって」
本当のところは違うのだけれど、少し誤魔化してそう伝えておく。
「そう。上忍の知り合いでも出来たの?」
「うん。……担当上忍さんのつながりでね。最近のことだけど」
「ふうん」
テンゾウさんから預かった連絡鳥は、私の部屋や、窓の外にあるベランダにいつもいる。あれから、木の端材を手に入れて巣箱を作ったから、鳥はその巣箱に入ったり部屋に居たりする。
新しい家族が出来たみたいで嬉しくて、家に帰ると、真っ先に話しかける。
すると、鳥は白い羽根を少し羽ばたかせて、首を傾げる。その小さな頭をそっと撫でてやると、つぶらな瞳で見つめ返してくるのだ。