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明日晴れたら

第23章 縁



どうぞ、と酒を注ぐと、彼女から返杯があった。ナズナさんは少しはお酒が飲めるらしく、可愛らしく微笑んでお猪口に口を付けた。

そうこうするうちに、机の上には旨そうな料理が並ぶ。前回は冷めきった料理をかきこむように食べたので、今日はゆっくりと味わいたい。しかも目の前には気になる女性。


温かい料理に舌鼓を打ちながら、僕は思い切って連絡を取ってみたことに満足していた。

いつもなら諦めてしまっていたつながりは、こうして自らの手で掴んでいくものなのかと改めて思う。

ナズナさんは出会ったばかりの人ではある。
けれど、何故か切れてほしくはない縁になっていた。


「次、もし連絡をくださるなら…私の家にもらえますか?」

ナズナさんの家は、僕が住む場所と里の中心部を挟んで反対側だった。そうして僕は今日、彼女の住む場所を知った。

考えてみると、僕は自分自身の身の上をほとんど話していない。それなのに、僕を信じてくれるのかと驚いた。彼女の無邪気さを危うく思いもしたのだが、嬉しいことも事実だった。

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