第8章 年上彼女 * 越前 リョーマ
トントントン……
リズミカルに聞こえてくる音
ふりふりのピンク色したエプロンを着けて
台所で料理をしているのは、俺の彼女であり
テニス部のマネージャー
両親が旅行に出掛けているって話をしたら
『じゃあ、夕飯作ってあげる』ってさ
ちょっと、嬉しい
なんてウソ
本当は、凄く嬉しい
でも、口にだしては言わない
恥ずかしいじゃん
「ふんふふんふ~ん」
鼻歌混じりに野菜を刻んでいる先輩の後ろ姿
ただ黙って見てるのもいいんだけど
ちょっと、つまんないかな
後ろから足音をたてずに近寄っていく
料理に夢中になっている先輩は、もちろん気付かない
「ねぇ、何を作ってくれるの?」
先輩を背中から抱きしめる
「うん?お鍋だよ」
俺が背中から抱きしめても平然として野菜を切っていくのが、ちょっと気に入らない
「何か、手伝う?」
「大丈夫だよ。リョーマくんは座ってて?」
余裕ぶってるよね?
俺は、先輩を抱きしめるだけで
心臓がバクバクしているのにさ
ちゅうっ
料理をするのに、髪を上げているから丁度いいや
白い首に音をたて、吸い尽く
「ん…もう」