第3章 グルグル巻き巻き *白石蔵ノ介 彩菜様に捧げます
「ねぇ~。くらぁ~…ここ…わかんない…」
「うん? どこや?」
「この問題…」
「あぁ…これはなぁ…」
優しく解き方を教えてくれる
蔵こと、白石蔵ノ介。
あたしは、高一の初めに、関東からここ大阪にやってきた。
関東からやって来た人間には、関西人のノリ、突っ込み、ボケが分からず…
戸惑っていると、一番初めに声をかけてくれた。
優しくて、面倒見もいいし
何より 格好いい。
学校でも人気者。
そんな蔵に惹かれるのは、当然のことで…
でも、あたし達の関係は
友達状態…
蔵が、あたしのことどう思っているのかは、分からず…
唯一の救いは
蔵に彼女がいない事。
それだけでも、ちょっとは期待が持てる。
「彩菜、ちゃんと聞いてるん?」
トントン…
あたしのノートを指で叩く。
「あっ…ごめん。大丈夫…ちゃんと聞いてるよ?」
「そうか…ならえぇけど…」
にっこりと笑う蔵。