第2章 奪いたい *切原赤也 彩菜様に捧げます
「ちょっと…!止めて! 離してよ…!」
軽く俺を睨みつける。
「嫌っす」
こんなチャンス、そうそう巡ってくるわけないじゃん。
俺のものになってよ。
先輩…
「先輩…俺…」
「駄目!!」
俺の言葉を遮る
先輩。
静かに首を振る。
「駄目だよ…云っちゃ…だめ…」
えっ?
先輩…何で、泣くの?
突然の涙にどうしていいのか、わからなくなる。
泣くほど、俺のこと…
嫌いなのかよっ。
悔しくて、唇を噛みしめる。
俺は、本気で凜先輩のこと、好きなのに。
「赤也…お願い…」
大きな瞳から、涙がこぼれ落ちる。
「先輩…俺の嫌いッスか?」
すっと、俺から視線を外す
先輩。