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黄色い花の冠を君へ

第15章 悪夢の始まりと解放のおわり(Gルート)ちょっとキャラ寄り


ある日、この地下世界にニンゲンが落ちてきた。少年だ。


「これから仲良くして頂戴ね、ノエラ」


ニコニコと私に紹介するママの横で少年の目は怪しく光った気がした。




今思えば、その時に気が付けばよかったんだ。




遺跡は余りにも静かだった。静かすぎた。ここには私達だけで過ごしている訳ではない。そうだ、もっと沢山、友達がいたのに…



「ノエラ」

「……ナプ!」


声の主はナプスタブルークだった。声をかけるとスッと姿を現した。彼に少し強引に聞き出した

「みんながいない…ここまで静かだったことなんてないよ…

何処に行ったの?」

ナプは少し悲しそうな目をして答えた






「死ンジャッタ…」

「え」

「コロサレテ、塵ニナチャッタ…」


し、死んだ…?脳裏に蘇る、ここでのみんなの記憶




「ノエラ!」
「また演奏聞かせてくれよ!」










「ッ…」



「殺シタノハ、アノニンゲンダッタ…」

「…!」

「ボクハゴーストダカラ無事デイラレタンダケド…逆ニ助ケルコトモデキナカッタ……」

ニンゲン…!ママが連れてきて…それで…


何なの…奴の恨みを買った覚えは一切ない。こんな無差別な事って……








あいつは、この穴に落ちたのではなく、”落ちてきた”のだ…!






「アイツ、ノエラガドウノコウノッテ、言ッテタ」

「え?」

「キット、何カ関係シテルンダ。ココカラ逃ゲタホウガイイ」

「で、でもママは…」

「アノニンゲン、アノヒトガ連レテ来タンデショ?ダッタラ説得スルニハ時間ガカカルヨ。親ヲ捨テテデモ逃ゲナキャ…君ガ死ンジャウ…

ソレダケハ絶対ニ嫌ダ」

揺らがないその表情が、今は一番強く思えた。


「お別れ…なの?」

「ソレハキットボクガ言ウコトダヨ。アイツハ皆殺シニスル。ソシタラ、本当ニ、ボクダケニナッチャウ…」

「ナプ…」

「アリガトウ、ノエラ。君トノ時間ワスレナイヨ


走ッテ!ボクガ何トカ時間ヲ稼グ!!」


私は溢れる涙を拭わないまま遺跡の出口へ一目散に向かった。ママに、さよならも言わずに



駆けこむ当てはなかったが、外へ出ればもう雪景色だ。
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