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黄色い花の冠を君へ

第3章 扉越しの再会(サンズ)


「友人が風邪をひいてせき込んでたらしいんだ。なんでだと思う?席混んでた場所に行ったからだよ」

「あはははは!今の最高だわ!」

今日も滑りギャグに大笑いしてくれる扉越しのおばさん
いつかその姿を見てみたいと思いつつも後でもいいかと感じる自分がいる

「我が子もそのギャグ聞けばぜったい楽しくなるのに…今日も御断りされちゃったわ…」

「おばさん娘さんがいたのか?」

「ええ、この遺跡でずっと一緒に暮らしてるわ。でもあの子いつも退屈そうで…何か楽しいことがあればいいって思ったから、毎日「扉の前に来ない?」って誘ってるんだけど…あの子はギャグがあんまり好きじゃないみたいね」

声調からおばさんが苦笑いしてるのが目に浮かぶ

「へー、名前、何ていうんだ?」

「ノエラよ」

「…!」








「なあおばさん、もしできたらそいつを扉の前に連れてきてくれよ。オイラも話してみたいんだ、あんたの子供と」









「貴方にお客が来てるの」と呼ばれ、連れてこられたのは遺跡と街を繋ぐ扉の前。ここって確かママが言ってたギャグ好きの人と話してる場所じゃないっけ…?
私が少し嫌そうな顔をすると

「大丈夫、今日はジョークは言わない!約束よ!」
と自信ありげに親指を立てるのでとりあえず扉の前に私を残すように頼んだ



「もしもし…?いや、こんにちは?聞こえますか?」

「よお、久しぶりだな嬢ちゃん」



くぐもった声でしばらくわからなかったけれど記憶の糸をたどったら…
いた……

「サンズ…?」


「覚えてたか」

「ギリギリ」

懐かしい。おとうさんがまだ生きていた時、研究員の一人にいたのがサンズだった。私と同様つかみどころがないスケルトンで、なんとなく自分と重ね合わせていた

「むしろそっちもよく覚えてたね。今どこで何してるの?」

「今はスノーフルのまちで警備員とかホットランドで商売してたり、後は時々サボる」
彼の言う時々はおそらく毎日だろう

「うわ、不健康そう。そのうち太るよ」

「知っての通りスケルトンなんでね、どんなにダラダラしても肉はスケスケだよ」
何処からかツクテーンとなんとも言えないドラム音が聞こえたような気がした。渋い顔をするしかなかった

「そんなキャラだったっけ?昔はもっと真面目そうだったよ」
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