第1章 貴方が来るまで…
「ただいまー」
「キャラ、お帰りなさい。アズリエルとノエラは?」
「まだ遊んでる。いつもの時間までってさ。先に帰ってきた」
「あら、丁度良かった。パイが焼けたのよ。まだおやつ前だけど特別に一つあげるわ」
「本当?やった!」
「おいしい?」
「いつも通りだよ」
「…キャラ、あの子とはうまくいってる?」
「………
私とは馬が合わない」
「ふふふ、それは始めから知ってるわ。貴方から見てあの子はどう見えてるの?」
「…姿はニンゲンに似ているが、性格はまるで機械のようだ。理屈っぽいところが逆に不気味だ」
「機械ね…あながち間違っていないのかも…」
「どういう意味?」
「これ、家族以外には誰にも他言しないで頂戴ね。
あの子は人の手によって作られた存在なの」
「え?」
「この国の研究員が娘が欲しくて作ったんだって、そうアズゴアから聞いたわ。けれどなぜ容姿がニンゲンに似ているのか、それは今では誰も知ることができない」
『おとうさんは研究員だった。もう亡くなっている』
「…!」
「けど決してモノとして扱おうとはしなかった。本人は本当に家族のように愛していたんだと思うわ
これを読んでごらんなさい」
「…手帳?」
「ノエラのお父さんのものよ」