第1章 幼馴染
御影 玲王
総資産7058億、御影コーポレーションの御曹司。
金持ちで頭脳明晰、容姿端麗、スポーツ万能と天から二物も三物も与えられた男の子。
私より1つ歳下で今は高校1年生だ。
うちの父が御影コーポレーションの役員をしている事もあり、玲王とは小さい頃からよく一緒に遊んでいた。
所謂幼馴染というやつだ。
子供の頃の玲王は好奇心旺盛でいつもニコニコしてて、人懐っこかった。
ひとりっ子だった私は歳の近い弟が出来たみたいで嬉しかった。
けど恵まれ過ぎる環境のせいか、中学に入ったあたりから玲王の中で何かが変わった気がする。
玲王の顔色を伺う周りの大人達、色眼鏡で見る同級生、取り巻きの女の子達。
ーーー何より、欲しがれば何もかも手に入る環境。
コミュ力も高くて学校でも人気者の彼は、普段は愛想良く振る舞っているけど、私には玲王が心から笑ってるようには見えなかった。
"つまらない 退屈"
ふとした瞬間、そんな表情をする玲王を目にしていたから。
ーーーけど、今目の前の玲王は子供の頃に戻ったかのように瞳をキラキラとさせている。
『え?欲しいものって、、、⁇』
首を傾けると、玲王はフンッと鼻を鳴らしながら、テレビを指差した。
「あれだよっあれっ‼︎優勝杯っ‼︎」
この日、この画面に映った優勝杯がキッカケとなり私達の運命は大きく動き始めることになる。