第2章 秘密の場所
「名前、"なぎさん"じゃなくて、"凪"でいーから。さん付けしなくていい。」
『あ、あぁ・・・。』
どうやらさっきの会話の事を思い出したらしい。
けど、さすがに呼び捨ては私にとってハードルが高くて曖昧な返事をする。
「俺もアンタの事、って呼ぶからさ。あと敬語も禁止〜〜。」
『えっ?敬語も、、、⁇』
「うん。だって玲王にだけ何かずるいじゃん。俺にも普通に話してよ。」
ーーーーーー驚いた。
無気力で何事にも関心が無さそうな"なぎ"がそんな事を言うなんて。
正直、戸惑う気持ちもあるけど、何より距離を縮めようとしてくれる事が嬉しくて、私は小さく頷いた。
『・・・じゃあ凪って呼ばせて……じゃなくて、えっと…
呼ぶ…ね?』
「ん。」
凪の表情が僅かに緩む。
いつもは気怠げで眠そうな表情ばかり見ていたせいか、そんな少しの口元の緩みだけでもレアだな、と見入ってしまう。
「じゃー俺は寝るから。」
凪はパーカーのフードを頭に被るとごろん、と横になってしまった。
やっぱりマイペース…(笑)
ここに来たばかりの頃はぽかぽかと太陽が温かく感じたけど、最近は夏が近づいたせいか日差しが強く感じる。
・・・さすがに夏になったら別の場所、探さなきゃだよなぁ…。
そう考えると、凪とこうして過ごすのも数えるくらいなのかもしれない。
そもそも私と凪は学年も違うし、何の接点もないのだから…。
『・・・・。』
チラリ、と凪の寝顔を盗み見る。
・・・・せっかく仲良くなれたのに、、ちょっとさびしいな…。
1人ため息を吐き、青く高い空を眺めた。