第1章 幼馴染
「・・・ねぇ玲王、不審者がいた…」
「不審者?どこどこ?」
辺りを見回す玲王。
「いや、俺と目が合ったら逃げてった。」
「逃げた…って。どーせいつもの女子達じゃねーの?」
「うーーん。女子は女子だったけど……何か違う。」
凪は胡座を掻きながらうーん、と考える素振りをする。
「違う?」
「うん。いつも玲王のコト見にくる女子って派手でうるさいイメージだけど、さっきの子は地味で暗い感じだったし。
木の影から見てたし…玲王のストーカーじゃない?」
「ストーカー?・・まぁ1人や2人、いるかもな。
けどそんなんいちいち気にしてねーし。
つーか凪のストーカーって言うなら話は別だぞ?」
「いや、俺をストーカーする物好きなんていないでしょ。
てゆーかストーカーの1人や2人って、御曹司も大変なんだね〜。」
ゴロンと仰向けに寝転がる凪に、玲王は苦笑いを浮かべる。
「おーーい、寝るなよ?」
「も〜疲れたぁ。一歩も動けない〜〜」
「はいはい。じゃあすぐに片付けるから待ってろ、俺が凪のチャリ漕いで送ってってやるから。」
「マジ?やった〜〜〜。」
当の私はストーカー扱いをされてるとはつゆ知らず、必死の形相で校門まで走ったのだった。