第1章 幼馴染
素早いドリブルであっという間にゴール手前まで来ると、玲王は反対側へ綺麗に浮かせたパスを出した。
ボールは高く弧を描きーーーー
そしてもう1人の人はさっきまでとは別人のような俊敏な動きで落下地点まで走ると、足を高く上げ、足の甲でボールを受けた。
ーーーまるでボールが足に吸い付くかのように。
そして次の瞬間、私は息を飲んだ。
その人は空中で受けたボールを更にトンッと軽く浮かせると、もう片方の足をふりあげそのままシュートを決めたのだ。
『・・・・うそ、、すごっ、、、‼︎‼︎』
素人目からしても、あの人がとんでもなく凄い事をしたのは分かった。
あの空中での動き……何⁇
もしかしてあれがトラップ、ってやつ⁇
力強いシュートがゴールネットを揺らし、玲王はゴールを決めたその人の元へと走り寄って行くと、パァッと弾けるような笑顔でハイタッチを交わした。
「凪っ‼︎タイミングばっちりだったなっ‼︎」
ーーーーなぎ?
あの人は"なぎ"っていうんだ…。
てゆうか玲王、めちゃくちゃ楽しそう。
あんな風に笑う姿、久々に見た気がする。
"なぎ"と呼ぶ彼に向ける笑顔は子供のように無邪気でまるで、、、、
そこでハッと気付いた。