第13章 二次選考
「急に呼び出してごめんね?あ、ちなみに絵心さんはここにはいないからそんな緊張しなくて大丈夫よ?」
『えっ…⁈そんなに顔に出てました……?』
苦笑いを浮かべるとアンリさんは笑いながら部屋の中へ通してくれた。
『・・失礼します。』
初日の挨拶に伺った部屋ではなく、中は作業部屋のようになっていてパソコンやモニターの他にも奥には小さなキッチンが見える。
「適当に座っててね!今お茶淹れるから。」
パタパタと奥へ消えて行くアンリさんにお礼をし、とりあえず近くにあった椅子に腰をおろす。
うわぁ、、凄い量の資料…。
これ全部アンリさんが作ったのかな…。
目の前のテーブルの上には資料が山積みになっていて、その仕事量にギョッと目を見張る。
しばらくして湯気の立つマグカップを手にアンリさんが戻って来た。
「もう夜だからミルク多めのカフェオレ、良かったら。」
『ありがとうございます。』
コトッと前に置かれたカップを受け取り、
フゥと息を吹きかけ一口啜る。
『・・・美味し…。』
甘くて温かいカフェオレが身体に沁み渡っていく。
「ふふっ、良かった。」
向かいに座ったアンリさんもカップに口を付けると、フゥ。と短く息を吐いた。
「まずはさん、谷中さんが抜けてから1人で大変だったよね、本当にお疲れ様!」
『いえっ、、私は谷中さんのようにトレーナーとしては全く役に立てませんでした…。』
「あら?そんな事ないわよ。さんは選手達から慕われてるし、サポート一生懸命頑張ってくれたじゃない!
何よりフィジカルケアの評判が良いのは私や絵心さんの耳にも入ってるのよ?」
『え?ホントですか……?』
「えぇ。相当勉強したんじゃない?」
まぁ、、と曖昧な返事をすると、アンリさんはフフッと笑みを溢した。
「そんな熱心に働いてくれるさんに今日は提案があって呼んだの。」
『提案、、、ですか?』
そう。と頷くアンリさんの顔つきが真剣なものに変わった。