第10章 傷を癒すのは…
時折声を震えそうになるのを何とか堪え、最後まで話し終えると、玲王は盛大なため息を吐き手で顔を覆った。
「はぁ〜…、マジ最悪。予感的中してんじゃん…。」
『・・・・予感?』
「あぁ。俺らと一緒に飯食おうと思って誘いに来たんだよ。
そしたら部屋にいねーし。
最初はまだ仕事でもしてんのかと思ってその時は特に気にしてなかった。」
「けどその後、偶然見かけたんだよ。
あのトレーナーと敗退した奴が2人でコソコソ話してんの。
敗退した奴らはとっくに出て行った筈なのにおかしいなと思って近づいたんだ。
そしたら男の方は逃げるようにいなくなるし、女の態度も明らかに動揺してる感じで。
いつもなら俺を見つけると猫撫で声で寄ってくんのに、その時は目すら合わせようとしなかった。」
「俺、あの女苦手。」
凪がベッドに頬杖を突き、気怠げに呟いた。
「そん時、何か胸がざわつく感じがして、の部屋にまた来てみたけど、が戻った形跡もなかった。」
「玲王が珍しく切羽詰まった顔してるからさ、2人で手分けして伍号棟のトレーニングルームを片っ端から探したんだよ。」
『・・・・えっ⁇ぜ、全部、、⁈』
あっけらかんと話す凪の言葉に目を見開いた。
「でも結局見つかんなくて戻って来たら、こんな状態だった…と。」
私の知らない所で玲王と凪にまで心配掛けてたなんて…思いもしなかった。
2人だって試合の後で相当疲れてるのに…。
それなのに全部のトレーニングルームを探し回ってくれてた…。
『2人共、、心配掛けてごめんなさい…。』
ぎゅっと眉を寄せ、布団を握りしめながら俯いた。