第10章 傷を癒すのは…
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手当てをしてもらいながら私が気を失った時の話を聞いた。
あの後、男達は結局逃げるように此処を出て行ったらしい。
國神さんは事件を上に報告した方が良い、と言ったけど私は頑なに拒否した。
そんな事をしたら私はここを辞めなきゃいけなくなるだろうし、何よりプロジェクトが中断する可能性だってある。
それだけは絶対に避けたかった。
結局断固として意見を曲げない私に國神さんが根負けするカタチになり。。。
未だ納得がいかないのか、渋い顔をする國神さんと呆れたように笑う千切さんに挟まれ、私は苦笑いを浮かべた。
「って見かけによらず頑固だし、強いよな(笑)?」
「はぁ〜…。こんな酷い目があったのに、ほんとにいいのかよ…。」
『はい。私がやられた分は國神さんがやり返してくれましたので。』
千切さんが貼ってくれた頬のガーゼを触りながら2人に笑顔を向けた。
「〜〜っ////」
「・・・・・國神ってホントわかりやすいな。」
うるせっ!と噛み付く國神さんを千切さんは軽くあしらう。
そんな微笑ましいやり取りをしている時、
コンコンッ
ドアをノックする音が聞こえ、私達3人は顔を見合わせた。
「こんな時間に誰だよ……もうすぐ23時だぞ?」
「はそこにいろ。俺が出る。」
『す、、すいません……』
声が少し震えた。
國神さんの逞しい背中がドアへと近づき、ドアノブに手を掛けた所で、
「ーーーー、いるのか?」