第4章 君と未来永劫
蘭の背中を見送り、私に追いついた獅音と友達二人が並ぶ。
「罪な男だな、灰谷兄って」
「慣れてるよねぇー、色々と」
「何か、蘭がモテる理由が、少し分かった気がしたわ」
しみじみ呟くと、獅音が私の指に指を絡める。見上げると、獅音の顔に不満そうな色が貼り付いている。
気持ちが、手に取るように分かる。けど、獅音の言葉で聞きたい気持ちもある。
「獅音、怒ってる?」
「お、怒ってねぇ……」
「難しい顔。眉間に皺、寄ってるよ?」
予想としては、ヤキモチなんだろう。何て可愛いのだろうか。愛おしさが広がってしまう。
「……面白くねぇ、だけだ……」
拗ねるみたいな顔で獅音が目を逸らした。
「ふふっ、獅音は本当に可愛いなぁ」
「うるせぇ……可愛い言うな……」
「可愛い可愛いっ!」
「やめろっつのっ!」
獅音の頭をくしゃくしゃとすると、怒りながらも獅音は満更でもない顔をする。
「私が獅音しか見てないの、知ってるくせに」
「それでも、気に入らねぇ」
「ごめんね」
獅音の前に立って、背伸びをする。
人がいたって、私には獅音しか見えてないから。
生徒がまばらとはいえ、公衆の面前で獅音に触れるだけのキスをして、靴箱へ向かった。
獅音は真っ赤になって固まっている。
「獅音、早く来ないと先行っちゃうよー」
我に返った獅音が、動揺したようにキョロキョロしてこちらに来る。
それを見てまた笑う。
獅音といると、一秒一秒可愛いが募って、好きが爆発しそうになるから、抑えるのが大変だ。
「獅音が私以外の人間によそ見したら、私犯罪を犯してしまう自信しかない……」
「あ、それ分かるー」
「の斑目愛は異常だからね」
休み時間に友達とダラダラ過ごしながら呟くと、心外な酷い返答が返って来た。
「これはやっぱり、早く子供を作るしか……」
「いちいち発想が突飛なんだよな、は」
「幸せそうでいいねー。あたしも彼氏欲しー」
ホントの所、今は特に女の子がどうとかはないからいいものの、今後は分からないわけだし。
私は、獅音みたいに拗ねる程度では終われそうにない。
「とりあえず卒業したら結婚はするとして……」
「深い愛だー」
「愛、か?」
二人の目が生暖かい。