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我が先達の航海士

第1章 我が先達の航海士


「龍水君?どうかしましたか」
「欲しいッ!あの美しき姿が欲しい!!絶対に俺が船長になってを雇うぞ!?」
講師はよく分からないが、の存在を仄めかせば勉強頑張りそうだと前向きに捉えた。との航海の為!と講師達が唱え続けた結果。龍水は無事プログラムを終え、七海財閥へ帰った。自宅を眼前にして顔を顰める龍水。龍水様?とフランソワが問い掛けた。
「フランソワ。あの美しい船も、海の姫君も俺は欲しい。俺は諦めないぞ。どんなに困難だろうと、帆船でと共に航海する!!」
「はい、龍水様。存じております」
その決意と熱意を、フランソワは静かに受け止めた。

龍水はボトルシップを集めては、帆船への想いを膨らませた。気象予報士の講師を付けて勉学に励み、順調に夢へと漕ぎ出した。十二歳を迎え、帆船が欲しいと七海財閥内部で造らせようとするも。
「帆船だと!龍水、お前までの様な酔狂を言いおって」
「どうせお前が熱を上げるの令嬢にでも何か言われたのだろう?目を覚ませ」
「あの家は子供の教育だと帆船に乗らせたり、慈善事業の様な事ばかりやりおる。此方が利用する分にはいいが、あそこと似た様な事はするな。龍水」
上層部に門前払いを食らってしまった。行き詰まる中、かつてのの言葉が蘇った。

《ウチの海運ぐらいだ。こんな一般向けのトレーニングしたり、帆船を今でも作れるのは》

今でも作れる。が言うならば。

「はっはーーー!上の事など知らん、海運に外注するぞ!!」
龍水は自身の手腕でかき集めた財力で新たな自分専用の帆船を造らせた。家は七海財閥と違い、快く了承してくれた。全国の海洋系学校の練習用帆船も造っており、日本で最も帆船造りのノウハウがあるのは間違いなく家だ。発注先としても、龍水の意志を尊重してくれるパートナーとしても最も適していた。
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