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我が先達の航海士

第2章 First dreamers


龍水が帆船航海に出る以上、そのシワ寄せとして七海財閥上層部がSAIを囲い込み、より厳しい教育プログラムを組むのはには読めた。教育に優れたの高校ならば七海財閥も文句は出ない。七海財閥からは家も貸して面倒も見るならと転校と転居のお許しが出たが、龍水の方が黙ってなかった。今回の航海さえ終えれば、出席日数に縛りの無い高校でのんびり好きなプログラミングをやれるが、そこまでがハード過ぎた。が心配し倒れ込むSAIにアイスを差し入れる。

「姉さん。なんでっ、あのタイミングで龍水が」
床に寝転がったまま頭を抱えるSAI。
「出て来たタイミングを見計らってたんだろうね」
はSAIにアイスを食べさせ、今回の航海について話す。
「龍水も船員全員の生命を預かる事は重々承知してる。今回は私も操舵経験のある明石から阪南の航路にしたよ。龍水はセイル・トレーニングの本格コースもやってたから、感覚麻痺して最初ちょいハードなの持ってきたけどね」
はは、と苦笑いする。SAIはこの航海さえ終えれば七海財閥や龍水からはかなり解放されるが、彼女は逆だ。その事に気付いたSAIが問いかけた。

「姉さんは大丈夫?これから龍水と一緒で」
「いや、まあ私は船が好きだから。幸い龍水君は私に負けず劣らず船が大好きだ。私が船乗りで無くなる訳ではあるまい」
アイスクリームのカップに銀スプーンを突き刺す。船乗りであればいい。にとっての船乗りの称号は、SAIにとってのプログラマーと同じなのだろう。そう思いつつ、SAIは笑いかけた。
「姉さん、本当に船が好きなんだね」
SAIの笑顔に、もああ、と頷きながら窓辺で風に吹かれつつひと時を過ごした。
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