第17章 東京*
黒尾side
「お待たせ〜‥ってあれ?研磨?花澄ちゃんは?」
可愛いキャラが全然似合わない長身の男が
可愛いドリンクを3つ抱えたまま研磨達のもとへ戻ると誰もいなかった
「クロっ‥花澄が何か見つけたみたいで突然走って行って‥電話もベンチに置いたままで連絡もつながらない」
「なに?!それは大問題‥他の男に連れ去られる‥」
近くにいたキャストさんに事情を話すと
にこやかに、そして速やかに花澄ちゃんを探し始めてくれた
食べ物とかお土産とかは確かに目をキラキラ輝かせて見てたけど
そんな事で俺たちを忘れて駆け出すはずはないだろうから
きっと迷子のお子ちゃんとか困っている人を見つけたんだろうな‥
とかなんとか色々考えていると小さな女の子と手を繋いで
そのご両親であろう人たちと一緒に花澄ちゃんが現れた
「花澄ちゃん!良かった〜連れ去られてなくて‥」
『すっ‥すみませんっ!突然飛び出して‥』
勢いよく頭を下げる横で小さな女の子が誇らしげに笑う
「プリンセスが私を助けてくれたの」
「すみませんでしたっ‥少し目を話した隙に見当たらなくなって‥助けて頂いて感謝しています」
誇らしげな女の子の横でベビーカーを押したお母さんのような人が申し訳なさそうに謝る
『小さなお子さん2人も連れてたら大変ですよね!無事でよかったです!可愛いプリンセスにとっても癒されました!』
ありがとうね?って小さな女の子の頭を撫でながら
そんな事をプリンセス顔負けの綺麗な笑顔で言うもんだから
俺達も
そのお母さん達も
キャストの人たちも
思わず心を奪われて顔がめちゃくちゃ綻んでしまった
「んで、可愛いプリンセスは他の男に手出されたりしてないですか?」
最後まで大きく手を振ってくれる女の子と深々とお辞儀をする両親と別れた後にジュースを渡す
何度も俺たちに謝りながらも満面の笑みでストローを咥えるほわほわプリンセス
『え?ずっとあの子と一緒にいたのでなにも‥』
そんな事を言いながらも男にナンパされていた事を知るのはもっと後のこと
「じゃあ最後!あれ!乗りますか!」
そうして俺たちは最後のアトラクションへ歩いて行った