第17章 東京*
崖の間をすごい早いスピードでトロッコが走って行くから
ぶつかっちゃいそうで
ドキドキして
おっきい声が出ちゃうけど
隣の研磨は全然声も出してなくってびっくりした
『研磨すごいねっ‥!私はドキドキしていっぱい声がでちゃった!』
「花澄は大はしゃぎだったね‥」
「っ?!いっぱい声がでちゃった?なんかそのワード際どいな‥」
乱れた髪を直してくれる黒尾さんが何故かパッと顔を赤くする
その時にすれ違った女の子達が飲んでいたクリームソーダ
上にキャラクターがのっていてとっても可愛かった
「あれ飲みたいの?」
研磨が私の顔を覗き込む
『えっ?可愛いなって思ってみてただけだよ!研磨も疲れたよね?どこかで休む?』
ちょうど大きな声をだして喉が渇いていたし
とっても可愛いそのキャラクターをみて飲んでみたかったけど
私の言うことばっかり聞いてもらっているような気がして話を逸らそうとすると黒尾さんがレストランへむかって歩き出した
「こんな時は遠慮しない!俺にたっぷり甘えちゃいなさい」
『えっ?!あ‥ありがとうございますっ!』
「じゃあ研磨と待ってて!すぐ買ってくるから」
そのまま黒尾さんがドリンクを買いに行ってくれて
研磨と2人でベンチに座って待っていると少し離れたところに小さな女の子が泣いているのが見えた
「えっ‥?花澄っ?!」
その周りには親のような人達が見当たらなくて
研磨に伝えるのも忘れて慌てて駆け出した
『大丈夫?お母さん達とはぐれちゃった?』
女の子の前にしゃがんで震える小さな手をギュッと掴むと少し安心したように私をみる
「うん‥おみやげみてたら‥お母さんいなくなってっ‥」
『じゃあお姉ちゃんと一緒に待ってよう?必ずお母さんきてくれるから』
ね?と言うと泣き止んでにこりと笑ってくれるから少しホッとして近くにいたキャストさんに迷子の事を伝えるとすぐに探し始めてくれた
「お姉ちゃんプリンセスみたい‥」
『えっ?あなたの方がとっても可愛くてプリンセスみたいだよ?』
キャストさんに案内してもらった椅子に2人で座っていると可愛い女の子がそんな事を言ってくれて心があたたかくなった