第17章 東京*
黒尾side
「大丈夫?苦しくない?」
目的地に近付くにつれ混雑する車内
『はいっ!黒尾さんのおかげで大丈夫です!』
密着する身体
にっこりとまた天使みたいに可愛い満面の笑みで見上げてくるもんだから
心臓がドキドキと騒ぎ出す
いつもなら憂鬱な満員電車も
今日だけはもっと混めばいいのになんて思ってしまう
『わーっ!!可愛いっ!すごいっ!見えてきましたっ!』
目的地の駅に着くと可愛い顔をさらにキラキラと輝かせて歩き出す
「あんまりはしゃぐと転ぶよ‥」
『研磨もはやくはやくっ!』
子供みたいにはしゃぎながらアーケードを潜り抜けると今度はぴょんぴょんと嬉しそうに飛び跳ねる
『わぁっ!テレビでみてたところだっ!可愛いし‥あれも美味しそう‥ポップコーンもあるっ!』
「まぁまぁちょっと落ち着きなさいお嬢さん、夢の国といったらまず‥カチューシャでしょ!」
『カチューシャっ!見てみたいですっ‥!』
おっきな目をキラキラと輝かせて周りを見渡す花澄ちゃんを連れて広いお土産屋さんの店内に入る
『わっ!色んなのがありますよ!研磨はこれで‥黒尾さんはこれとか似合いそうですっ!わたしはどうしようっ!』
きょろきょろとあっちをみて
こっちをみて
後ろ姿だけでもはしゃいでるのが分かるのが可愛い
「俺はなくてもいい‥」
「何言ってんの!ここはみんなでカチューシャでしょ!」
結局全員でお揃いの耳をつけて店内を後にする
『お城っ‥写真っ!みんなで撮りたいですっ!』
こっちこっちと手招きする姿は夢の国の妖精なんじゃないかと思うくらい可愛い
「わぁ〜!カチューシャとってもお似合いですね!お写真、撮りましょうか?」
『えっ?いいんですか!ありがとうございますっ!』
満面の笑みを浮かべた若い男のキャストさんが花澄ちゃんに声をかける
そして
研磨、俺、花澄ちゃんで写真を撮ってもらった
「ふっ‥良い顔しちゃって‥」
初めての夢の国で浮かれちゃってすっげぇ可愛い花澄ちゃんと
またそれに負けず劣らず嬉しそうにニヤけた俺達がちょっと面白くて自分でも笑ってしまった