第17章 東京*
狐爪side
クロの様子がおかしい
自分で気付いているのか知らないけど
たまにスキップなんかしながら鼻歌歌ってる
浮かれたクロと家の前で別れて
家に帰ると体育祭で疲れた身体をベッドに放り出す
その日は何にも考える気がおきなかったけど
翌日すぐに電話をした
「もしもし‥」
『研磨だ〜!おはよう!どうしたの?』
烏野との練習試合が終わってから何度かメールでのやり取りはしてたけど
電話をした事は殆どなくて受話器から聞こえてくる可愛い声に少し緊張してしまう
「今度の月曜日‥もしかして、こっちきたりする‥?」
クロのデレデレとにやけた顔をみてたら花澄の事しか思い付かなかった
『そうそう〜!黒尾さんから聞いたのかな?研磨にも連絡しようかなって思ってたところだったの』
「いや‥クロは何も言ってない‥でも見てたら分かる‥」
『研磨は黒尾さんと仲良しだったもんね!』
女の子はなんか苦手だし
普段からあんまり人とは関わらないけど
花澄は不思議と一緒にいたいって思うし
ふわふわと優しく話す声はずっと聞いていたいくらい心地良かった
「仲良し‥かな‥それよりどこか行くの‥?」
『そう!それなんだけど‥研磨はあんまり行きたくないかなぁって思って‥』
話を聞き出すと某テーマパークに行く約束をしたらしい
疲れるし
誘われても絶対行かないようなとこだけど
花澄となら
「いく‥」
『ほんとにっ?!いいの?!みんなで行ったら絶対楽しいよね!』
弾んだ声が大きくなる
「ふふっ‥花澄がどんな顔してるか想像できる」
『ええっ?!間抜けな顔してそう?!』
「秘密‥」
その後も2人で笑いながら色々話して
電話を切る
久しぶりに会う花澄
「なに着ていこ‥」
普段から服装とかにあんまり興味なかったけど
花澄と出掛けるならちゃんとしていきたい
クローゼットの中から服を引っ張り出す
鏡の前で色々と合わせながら
ふと自分の緩んだ顔に気付く
「浮かれすぎだよね‥」
クロと変わらないくらい浮かれた顔が鏡にうつっていて苦笑いした