第9章 *合宿 止まらない気持ち
菅原side
今日は一日中後悔と苛立ちとで居ても立っても居られなかった
きっと本人は心配かけたくないって何ともないフリしてるんだろうけど
ふとした瞬間にみせる怯えた顔に自分の不甲斐なさを感じてどうしようもなく落ち込む
花澄ちゃんを教室まで送ってから3年の教室まで戻ると
電車で俺たちをみた奴らが冷やかしてくる
「スガちゃん〜朝から大胆だね〜!」
「朝からずるいぞ〜!」
グイグイと膝で押されるけど
そんな気分じゃないからへらっと笑ってごまかす
「見られてたか〜!嫉妬すんなよ?」
自分の席について下を向いていると大地が心配そうに歩いてくる
「スガ‥どうした?」
内容も内容だけに話してもいいか迷ったが
大地にならと思って今朝の出来事を話す
「‥そう‥か。花澄の事だから周りには心配かけまいと無理して明るく振る舞うだろうな‥俺らでサポートしてやろう」
苦虫を噛み潰したような顔で大地が呟く
「俺が‥っ俺がついてながらごめんっ‥」
下向いて謝ると背中をバンバンと叩かれる
「スガが謝る事なんもないだろう!むしろ‥スガがいてくれて良かった‥しかしそいつ‥許せん」
最後にスッと目つきが変わる
授業中も休み時間も頭は花澄ちゃんの事でいっぱいだった
やっと1日の授業が終わって体育館へ急ぐ
いつもは大体来ているけど今日は姿が見当たらない
「西谷っ!花澄ちゃん今日部活くるって?」
ちょうど体育館へ同じクラスの西谷がやってきたから聞いてみる
「花澄っすか?休むとか聞いてないんで来ると思いますよ!」
バレーシューズに履き替えながらふと西谷の手が止まる
「もしかすると‥」
「?」
「またアイツのところかもしんねぇ‥」
「アイツ‥?」
胸が少しドキッとする
「最近入ってきた若い用務員の兄ちゃん知ってます?アイツっすよ‥花澄が最近よく一緒にいるの見るんすけど‥なーんか気に入らないんすよね〜」
ガバッと立ち上がって仁王立ちする
「まぁ俺の勘っすけどね?」
そのままコートに走っていってしまった
大地と一緒に体育館の前で花澄ちゃんがやってくるのを待つ
みんなが殆ど体育館へ集まってきた時
やっと花澄ちゃんの姿が見えてホッとする