第7章 五色の夜 安土城編 完結【家康】
「悪かったな、今までお前の気持ちわかってやれなくて」
すまなそうに謝る秀吉さん。
「秀吉さん、とんでもないです!私がきちんと言わなかったから」
「こんな俺だけどこれからも頼ってくれよ」
「はい!」
良かった‥‥!
わかって貰えた!
安堵と嬉しさに包まれる。
家康のおかげ。
ありがとう、と思いを込めて見つめると家康は小さく頷いた。
顎に手を当て、じっと考えこんでいた三成くんが、ぱっと顔を上げた。
「名無し様のお話を聞いて深く納得しました。名無し様を独り占めしたい、私がそう感じていたのは名無し様と同じ価値観だったからですね。それなら、たった一人の相愛の相手になれれば良い。私、立候補します」
「えっ」
「名無し様、お慕いしております」
三成くんはにっこりと天使の笑顔が浮かべた。
「確かにそうだな。俺も立候補する。三成、勝負するか?」
「名無し、俺を選べ。命令だ」
「信長様、お言葉ですがそれでは強制です。名無し、良く考えろよ。俺でいいんだぞ」
政宗さん、信長様、秀吉さんの言葉に私はたじろぐ。
「いえ、あの…その…」
ちらりと家康を見ると何故か不機嫌そうだった。
その彼に光秀さんがスッと近づく。
「せっかく解放してやったと思ったのになぁ、家康」
「どういう意味です?」
「どれ、俺も立候補してやるか」
「心にもない冗談を言わないでください」
私がそう言うと光秀さんはクックッと楽しそうに笑った。
終