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イケメン戦国 書き散らかした妄想

第7章 五色の夜 安土城編 完結【家康】



御殿の塀にもたれて、私は座り込んだ。

はぁ‥‥

‥‥‥‥‥‥

「だからー、辛いならそう言いなよ!」

後ろから飛んできた家康の声。

どうして?ついてきてたの?

すぐに私の肩を支え部屋へと連れて行く。

女中さんに布団の準備を指示し、そこに私を寝かせてくれた。

横になると大分楽。

「大丈夫?」

濡れた冷たい手拭いを額に当ててくれた。

あ、気持ちいい。

「ごめんなさい」

「全くだ」

家康は小さく息を吐いて、布団の横に座った。

「言ったよね、こじらすと良くないから早く言いなって」

「‥‥迷惑かけたくなくて」

「その変な遠慮、二度としないで」

彼はきっぱりと言う。

だけど、いつものように不機嫌そうとは何故か思わなかった。

迷惑かけてるのに、彼は優しい。

ワサビが庭からこっちをじっと見ていた。

「ワサビも心配してくれてるのかな。賢いね。ペットは飼い主に似るって言うし」

「ぺっ‥‥と‥‥?何?」

「な、何でもない」

「変な人」

家康は、ふっと笑った。



‥‥‥‥笑った‥‥

‥‥‥‥笑ってくれた‥‥!!



何故かその瞬間、嬉しくて涙が出た。
朝も泣いて涙腺緩かったのかも。
 
「何?何で泣くの?」

家康は焦った様子。

「‥‥わかんないけど何だか嬉しいの。普通に話せてほっとした。笑ってくれて、嬉しいの‥‥」

「何それ、ほら涙拭いて」

家康は微笑んだまま、乾いた手拭いをそっと渡してくれた。

「あ、ありがとう。あの‥‥私、家康に嫌われてると思ってた」

「どうして?」

「私、変だから。何かと目について気に障るよね‥‥」

「確かに相当変」

そうだよね、変だよね。

「それに夜も誘われな‥‥」

‥‥あっ!

つい変なことを口走っちゃった!

家康の顔がちょっとだけ赤くなった気がした。

「‥‥‥夜…ね」

沈黙が降りる。

せっかく普通に話せるようになったのに、変なこと言っちゃった。

ああ‥‥。

「‥‥‥そういう事するのは、好きな娘とだけにしたい」

家康は腕組みし、目をそらしながら言いづらそうに言った。

「‥‥そうだよね」

私は頷いた。

私の事は嫌いだから、しないんだよね。

そう思った時、
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