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イケメン戦国 書き散らかした妄想

第1章 大福顔【家康】


「はぁ‥‥待ってよー」

あれだけ走っても全く息を切らす事のない家康と、はぁはぁと、息も絶え絶えな名無し。

「ぶっ!‥‥はははははははは!!」

「!??」

「ははははは!」

体をくの字に曲げ、腹を抱え肩を震わせ、大笑いする家康。

名無しは呆気に取られて、口をぽかんと開けて見つめた。

(家康‥‥何で‥‥‥‥?でも、こんなに笑ってるとこ‥‥見たことない)

翡翠色の瞳を細め、白い歯を見せ、頬や耳を赤く染めながら笑う。

いつもクールな家康からは、考えられない様子だった。

(でも‥‥何だか可愛い‥‥少年みたいな笑顔)

名無しは嬉しくなり微笑む。

「‥‥その大福みたいな顔!!ぶわっははははは!」

「‥‥‥‥‥‥はい?‥‥」

思いもかけない言葉に、名無しは固まった。

「もう、可笑しくてたまんない‥‥軍議で皆真剣なのに、あんただけ大福みたいにふにゃっとした顔して‥‥」

話しながらも家康は笑いを堪えきれない様子。

「‥‥‥‥な‥‥何それっ!」

武将たちはいずれも
きりっとした眉に高い鼻梁。
彫りが深く、
凛々しさ溢れる
男らしい面々ばかり。
まして白熱していた軍議中、各々が醸し出す迫力は倍増していた。

そんな中‥‥
つぶらな瞳に、
小さな鼻、
ぽってりとした愛らしい唇に、
ふわふわの白い頬。
名無しの顔立ちは武将たちとは正反対。

「いくら真剣な顔しても全然駄目‥‥緊張感のかけらもない‥‥」

「家康!やっぱり笑ってたんだ!噴き出したのを咳で誤魔かしてたんでしょ!」

「あんたの顔のせいだから‥‥ああ可笑しい‥‥」

「大福だなんてひどい!‥‥」

名無しはむくれて俯いた。

少し笑いがおさまると、家康は名無しの頬を長い指でむにゅっとつまんだ。

ふんわり柔らかな感触は、本当に大福のようで気持ちいい。

「大福だけど、それがいい」

「‥‥緊張感のかけらもないだの‥‥」

「ごめん、言い方悪かったよ。周りはクドい顔ばっかで胸焼けしそう。あんたの顔は目に優しい。ほんと特別だよ、あんたは」

家康の声は優しかった。

「‥‥」


名無しを見つめる家康の眼差しに胸が暖かくなる。

ところが

「‥‥‥‥ぶっ‥‥ふぁははははは!やっぱ無理…」

「もう!ひどい!」

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