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イケメン戦国 書き散らかした妄想

第6章 五色の夜5【三成】R18



昨日の荒天とはうって変わって、心地よい風が吹き星がきらきらと瞬く優しい夜。

「あっ!」

見つめていたら星が流れた。

流れ星を実際に見たのは生まれて初めて。

今日はきちんと言えそうな気がする。

背中を押された気がして、三成君の部屋に向かった。

私の思いを話そう。きっとわかってくれる。

意を決して襖を開けた。

「名無し様!お待ちしておりました。来て下さって嬉しいです」

ぱぁっと輝く先制攻撃のような喜びの笑顔にたじろぐ。

あれ、三成君、いつもぴょこんと跳ねてる寝癖が無くて髪が整ってる。

だからなのか、普段の可愛い感じから正統派な美青年の雰囲気になっていた。

えっと…まずは雑談からしようかな。

「昨日の夜は雷すごかったね」

「そのようですね。ですが非常に興味深い戦術書に読みふけっていて、全く気づきませんでした」

あれだけの音に気付かないなんて、さすがの集中力。

部屋の床にはいつも雑然と本が積んであるけど、それがもっと多くなっているみたい。

勉強熱心でいつも感心する。

「‥‥‥‥ね、猫さんは大丈夫だったのかな」

「秀吉様のところへ行っていたようです」

「そう、良かった」

他の雑談ネタは思いつかなかった。

話を切り出そう、私はすぅっと息を吸い込み襖を閉めて部屋の中へ一歩進んだ。

「‥‥三成君、あのね、あっ!」

その時、真下にあった戦術書に気付かず躓いた私は、バランスを崩して倒れ込む。

瞬時に駆け寄った三成君に抱きとめられた。

「…ありがとう」

「すみません!私が散らかしているせいで」

「ううん」

三成君はそのまま手を離さない。

「…?…もう大丈夫だよ?」

「……名無し様……何か言おうとされましたが、すみません、私からお話してよろしいでしょうか?どうかこのままで」

「え…」

その声はいつもの彼のトーンとは違う。

そして昨日まで4人の武将たちに抱きしめられた時と大きく違ったのは、私よりも三成君の鼓動の方が激しかったこと。

「はい…」

私は頷いた。

ドクン…ドクン…ドクン…

三成君はしばらく何も言わなかったので、私はそのまま彼の胸に顔を埋めながら心臓の鼓動を聞いていた。

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