第24章 貴女を意のままに3 【三成】R18
そして、もうすぐ施術を受けてから一ヶ月。
再び術師たちが訪れる日が迫っている。
名無しはもう元の状態と遜色なく回復していて、あれ以来は発作も起きていない。
だからきっと、術を解くのだろう。
そうしたら暗示は消えて、この恋仲の関係は終わってしまう。
三成が欲のままにおかした罪も、白日の下に晒されるのかもしれない。
それは勿論怖かった。
けれども自らが招いたこと。
どんな結果になろうともすべて受け入れよう、そう腹をくくっていた。
それに、たとえ暗示が消えても、三成の中に甘い記憶は残っている。
『…大好き…』と恥ずかしそうに呟いた声
やわらかな口づけ
あの夜に触れた肌の感触
他にも色々あるけれど。
そんな名無しのひとつひとつの記憶は鮮明に残っているから、それを心の糧にして生きていけると思った。
胸の内は複雑だけれどそれを名無しの前では一切見せず、いつもの穏やかな笑顔で接し続ける。
彼女には心配をかけたくないし、残り少ない幸せな日々を精一杯、享受したかった。