第24章 貴女を意のままに3 【三成】R18
翌朝
額に触れた柔らかな感触…
三成が目を開けると、
「あ…起こしちゃった?ごめんなさい…」
布団の横に座った名無しが顔を覗き込んでいた。
「いえ、大丈夫ですよ」
昨夜なかなか寝つけなかった三成は、まだ呆けている頭を巡らせる。
(今…触れたのは…名無し様の唇…?)
そう気付くと一気に嬉しくなり、頭が冴えて体をシャキッと起こした。
「おはようございます」
「おはようございます」
一緒に眠った幸せな夜からの延長
一緒に朝を迎えられる喜びを噛みしめる。
「名無し様は早くから起きていたのですか?」
彼女は既に身支度を整えている。
「うん、早く目が覚めちゃった。それでね、ずっと寝顔見てたの」
「私の寝顔…ですか?」
「そう。あどけなくて、何だか少年みたいで可愛くて、ずっと見てた」
「…恥ずかしいですね」
「恋仲になれて、こうやって三成くんの寝顔を見つめられるのも幸せだなって、しみじみ思って」
「実は私も昨日、同じような事を考えて名無し様の寝顔を見ていました」
「何だか恥ずかしいな…」
両手で頬を包んで照れる名無しの様子が微笑ましかった。
(気持ちが通い合うのは、こんなにも心地良いものなのか)
それは生まれて初めて感じる感情。
胸がじんわりと温かくなり、自然と三成の顔はほころぶ。
そんな幸せな日々が続いた。
一緒に起きて食事をする。
それぞれの仕事をこなし、その日の出来事を話し、笑い合い、夜はたくさん口づけて一緒に眠る。
何気ない日常が、喜びに彩られている。
(だけどこの幸せは泡沫のもの…)
暗示によって三成を好きだと思い込ませているだけ。
名無しがくれる『好き』という言葉、
そしてそれを感じさせてくれる愛らしい言動。
決して本当の恋によるものではない。
それでもいいから欲しかった筈なのに、今はこんなに切ないなんて…