第24章 貴女を意のままに3 【三成】R18
「だからこれからも…三成くんと一緒にいさせてください…。お願いします」
必死な様子でそう言い、頭を下げた名無し。
「…そうか。わかった。もう既にお前たちには深い絆があるんだろう。敵わないな、まったく」
政宗はそう言って白い歯を見せて笑った。
「ごめんなさい」
「別に謝ることなど何もない。遠慮せず、これからも俺を頼れよ」
「うん…ありがとう」
「三成はそれでいいのか?」
信長の真紅の瞳が三成を見据える。
「…はい」
「では話は済んだな。下がって良い」
すべてを達観していたような信長の声と眼差し。
三成は頭を下げるのがやっとで、しばらく何も言えなかった。
「三成、名無しを幸せにしてやれよ」
政宗の言葉にも頷くばかりだった。
天主を後にして政宗が去っていき、二人きりになる。
その告白も、引き際でさえも正々堂々としていた政宗に、三成は打ちのめされていた。
「ごめんなさい。思わずあんな事を言ってしまって、三成くんがどう思ってるかもわからないのに。本当は迷惑だった?…」
何も言わない三成の顔を名無しは不安げに覗き込む。
「迷惑だなんて、そんな事はありません。私も名無し様が…好きです」
(先程の政宗様の告白とは大違いだ…)
思いを口にするのがこんな状況になってしまい、情けなく感じる。
それにも関わらず、名無しの顔はみるみる明るく輝いていった。
「良かった」
そう言った彼女の顔は、頬が薄紅色に染まっていて、
「嬉しい…」
と、浮かんだ笑顔は太陽のように眩しく、三成の沈んだ心を照らした。
(こんな告白なのに喜んでくれている)
「すみません。名無し様に心配をかけてしまいましたね。ただ…あまりに驚いてしまっただけです」
つとめて微笑んでみせると、名無しは三成の手を取りぎゅっと握った。
とにかく、彼女はこれからも自分の元にいてくれる。
自分を好きだと言ってくれている。
願った状況は叶った。
たとえ暗示によるものだとしても…。