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イケメン戦国 書き散らかした妄想

第23章 貴女を意のままに2【三成】


名無しは順調に回復していた。

夜は次第に眠れるようになり、食事もお粥を少しずつ食べられるようになってきた。

目眩もおさまり、一日の内に身体を起こしていられる時間が長くなっていく。





施術を受けてから14日目。

その日は朝から夕方まで起きて、簡単な裁縫ができるまでに回復していた。

「三成くん、いつもありがとう。良かったらこれどうぞ。今日作ってみたの」

名無しが渡したのは、紺青色の生地で作られた小さな巾着。

三成の顔が明るく輝く。

「これを…私にですか…?ありがとうございます。大切に使わせていただきますね」

嬉しそうな三成の様子を見た名無しの顔も、ぱあっと輝いた。

ひとつひとつの回復の兆しが毎日積み重なり、確実に彼女は元気になっている。

三成の心に、えも言われぬ嬉しさが蓄積していた。

術師に言われた通りに行っている日々の暗示は驚くほど上手くいっていて、自分が名無しの役に立てている実感、必要とされている喜びは、今までに感じた事の無いものだった。

「明日はお部屋を出てみましょう。天気も良さそうですし、中庭を散歩してみませんか」

「はい…」

三成の提案に名無しの顔が少しだけ、憂いを帯びる。

「不安ですか?」

「目眩が起きないか少し心配だけど…でも…こんなに元気になってきたから…大丈夫」

名無しは微笑んでみせた。

(名無し様…本当は不安なのに私に気を遣って強がって…)

そんな様子を三成はいじらしく思う。

(不安を取り除いてあげたい…)

手にした青い鈴を鳴らした。

涼やかな音が名無しの耳に入り脳へと届くと、彼女は目を閉じて倒れ込んだ。

ふわりと三成は受け止める。

上向かせた顔にかかった髪をかき分けて流し、無垢な表情を見つめて頬に触れると、愛おしさが込み上げた。

「名無し様…」

衝動的にぎゅっと抱き寄せると、彼女の髪と両腕はだらりと後ろに垂れ下がり、力無く揺れる。

白い首元から漂う甘い香りに三成は狂いそうになり、呼吸と鼓動が乱れていく。

「はぁ…」

理性と欲が激しく葛藤していた。
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