第16章 君の誕生日2−1 【佐助】ノーマルEND
足先から膝下へとマッサージが続いていた。
その時、佐助くんの手が膝を越えてもっと上の方、私の太ももに触れた。
「…!」
思わず私がビクッとすると、その手は膝下に降りていった。
それが何度か繰り返される。
…あ…でも太ももを撫でられるのも気持ちいい。
それより上の方はさすがに…だけど。
膝の少し上までで、足の付け根にまで上がっては来ないのでそのまま委ねていたら…
「……!!」
突然、持ち上げられた右足。
そして…
ふくらはぎに感じた
ある柔らかい感触…
それに私はビックリして目を開けた。
「あ……」
佐助くんが
私の右足に
キスをしていた……。
目が合うと一瞬、二人とも固まった。
「……!!」
私は思わず右足を引く。
「ご、ごめん!思わず無意識に…」
ちがう、ちがう、というように佐助くんは胸の前で両手を左右に激しく振る。
「……」
私はぽかんとして何も言えず彼を見つめた。
「いや、あの……これは…」
「……」
「名無しさんっ!!」
「はいっ!!」
ワタワタしてた佐助くんがいきなり強い口調で私の名を呼び、反射的に私もシャキンと上半身を起こした。
「好きです!!」
そう言いながら彼はひれ伏して畳に頭をつけた。
「え…?」
これって完全に土下座の体勢だけど…
『好きです』って……。
私の頭は追いつかない。
「こんな告白、世界一カッコ悪い…」
足を投げ出した体勢の私に、土下座している佐助くん。
確かに相当シュールだけど…。
「…さっきは無意識にあんなことしてしまい、これじゃただの痴漢、犯罪だ…」
「……」
佐助くん、肩も声も震えてる。
「弁解の余地はないけど、君に触れて舞い上がってしまって、こんな行動を」
「佐助くん…」
「君が好きだ。だけど、もう嫌われても仕方ない…」
私は足台から足を下ろして正座した。
「あの…佐助くん、どうか頭を上げて」
「無理だ、とてもじゃないけど君の顔を見れない」
佐助くんは急に立ち上がり、くるりと背を向けた。
「今から謙信様に斬ってもらう!!」
「ま、待って!」
私は慌てて彼の手を掴んで止める。
「罰を受けないと。ズタズタに刻んでもらう」
「そんな、やめて!」