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*名探偵コナン* Daylight *降谷 零*

第1章 *File.1*


「ちょっ、零っ!」

悪いけど、抗議は聞かない。
景光の気配が消えると、遠慮なくカウンター越しに伸ばした掌で雪乃の後頭部を引き寄せて重ねた唇。
零、か。
その声でその名を直接呼ばれたのは、一体何年ぶりだ?
だからこそ、直にこの心に響いた。
同時に様々な感情が脳裏に、心に渦巻く。

「…んぅ」

雪乃の唇は、何も変わらずにあまくて柔らかくて、安心した。
まさか第二の仕事場である此処で再会早々にキスをすることになるとは、さすがの俺にも想像がつかなかったが。

「っはぁ……」

角度を変えて、徐々に深くする。

「…れ、い」

誘惑するようなあまく艶のある声で名前を呼ばれると、背中から腰にかけてゾクリとあわだった。
一瞬にして、オトコの本能が目覚める。
雪乃にしか入れることができない、俺のオトコの本能のスイッチ。
仕方がないから、今だけは鋼の理性で抑えておくよ。一度暴走したら、きっと俺自身でさえも止めることは不可能だ。
キミ達は良くも悪くも双子。
年齢なんか関係なく、何の躊躇いもなしに二人で出かけられるほど仲が良い。
現に二人の誕生日である今日も、休みを合わせて朝から二人で出掛けていたらしい。
最も本当の目的は、俺と雪乃を会わせるために景光が一人で計画したものだと判明したが。
おまけに双子なのに、景光と雪乃は姿形がまるで似ていない。唯一同じなのは色素の薄い髪の色と、柔らかで艶のある髪質だけ。
だから、二人が並んだらただの美男美女の恋人同士にしか見えなくて、警察学校時代、それを松田と萩に偶然見られた時は騒ぎになった。
そもそもが、その時点で雪乃の彼氏は俺だったのに。

「…っん、零」
「まだ」

何時もそんな二人が羨ましくて微笑ましくて、でもそれ以上に景光に嫉妬して。
その反面、二人にはこのままの関係でいて欲しいとも願う。
考えれば考えるほど、いっそのこと、この胸の中で暴れ回る感情をむき出しにして雪乃、キミを今直ぐに抱きたくなるよ。
キミの全てを手に入れて、キミの全てを壊してしまいたい。
俺と雪乃、オトコとオンナの本能や理性までもを捨て去るほど、その奥深くまで。


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