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*名探偵コナン* Daylight *降谷 零*

第5章 *File.5*外伝*警察学校編*


「何処行くの?」
「散歩」
「星見たい」
「無茶を言うな」

今からだと、場所的にも時間的にも無理だ。
勿論、それを分かった上で言ってるんだろう?

「じゃあ、また今度」
「天気の良い日に、何時でも」
「ありがと」

久しぶりに、二人きりで手を繋いで歩く。

「伊達君と話してたんじゃなかったの?」
「たまたまコンビニで会っただけだ。その帰りに景光に呼び出された。雪乃は?」
「景光と世間話してた。あそこなら、誰も来ないかと思って」
「デザートが食べたかった、と」
「うん」
「でもファミレスでは不満だった」
「うん」
「雪乃は景光のお陰で、良くも悪くも舌が超えてるからな。後、夜にスイーツを食べるのはお勧めしない」
「えっ?太った?」

ギョッとして、自分の身体を見下ろす。

「最近は見てないから分からないよ」
「れっ、零!」

本当は今直ぐに抱き潰したいぐらいには、愛しいと思ってるんだけど?

「違うか?」
「た、確かにそうだけど…って、何言わせるの!」
「くっくく」
「零!」

ファミレス近くの堤防。
街灯の明かりでも、雪乃の火照った顔の赤さが分かる。
なるべく街灯の明かりが届かない暗い場所に、二人並んで座る。
狭くはない川幅、深さはあまりない。
緩やかに流れながら、近くの街灯に照らされてキラキラと光っている。

「星見っけ」

周囲の暗さに目が慣れて空を見上げれば、多少なりとも星が見えた。

「雪乃」
「うん?」

細い腰に腕を回して、ゆっくりと重ねた唇。
軽く触れて離すと、幸せそうに雪乃がふわりと優しく笑う。
いつの間に、こんな大人の笑みを見せるようになった?
ずっと傍にいるはずなのに、年齢を重ねるごとに雪乃は女らしさに磨きがかかり、綺麗になる。
不意に見せられる度に嬉しい反面、酷く切なくなるのは何故だ?

「…零?」
「愛してるよ」

この先、例え何かがあったとしても、この生命がある限り。
俺は雪乃、もうキミしか愛せない。
それを誰よりも俺自身が一番理解し、確信しているから。

「零、貴方を愛してる。この先ずっと。遠い未来まで」

柔らかな頬に触れて直ぐ傍で視線を合わせ、何時か、の、同じ未来を描く。

「ん……」

そして、誓いの口づけを。


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