第5章 *File.5*外伝*警察学校編*
「どういう意味だ?」
「オレと雪乃は、双子の兄妹」
「はっ?」
「ウソを付くなら、もっとマシなウソ付けよ!」
「似て、ないよな?」
目がテンの班長、キレ気味な松田、首を傾げる萩原が、オレと雪乃の顔をマジマジと見比べる。
雪乃はカバンからスマホを取り出すと、戸籍謄本と家族写真を見せた。
三人が顔を突き合わせてスマホを覗き込み、納得してから顔を上げる。
「私のホントの名前は諸伏雪乃。両親が亡くなった時に景光とは別の親戚に預けられて、そのまま養子になったの。でもその親戚同士が近所に住んでたから、学校はずっと一緒。だから、私とゼロも幼馴染」
「悪かった。そういう事情があるとも知らずに」
「いいよ。隠し通せるとは思ってなかったから」
「怒って、ねぇのか?」
「いっそバレた方が気がラクだろ」
ゼロはため息混じりに返す。
「ん?ってことは 」
班長の視線が、ゼロと雪乃を何度か行き来する。
「何だよ?」
「…もしかして?」
首を傾げる松田の隣で、萩原がニヤリと笑った。
「雪乃チャンのオトコは、降谷ちゃんってことだ」
「ハアッ!?」
「!」
松田は声を張り上げるし、ゼロは一切表情を変えないし、ゼロとは対象的に雪乃の顔は真っ赤だ。
「あらまあ」
雪乃のこの反応は予想外だったのか、テーブルに頬杖をついた萩原がゼロに同情した目を向けた。
「こりゃ、お互い苦労するな」
「煩い」
班長まで揶揄う始末。
確かに班長の言う通り。
オレは何度も巻き込まれた!
「三人揃ってよくもまあ、あそこまで赤の他人のフリが出来るもんだ。俺もすっかり騙された」
「でも、伊達君は何か気付いてたでしょ?」
「俺が気づいたのは、君にオトコがいるってことぐらいだよ」
「さすがリア充は一味違うねえ、陣平ちゃん?」
「そーですねー」
「雪乃は俺のだ」
「「!!」」
ゼロは静かにそう告げて立ち上がると、戸惑う雪乃の腕を取ってサッサと店を出て行ってしまった。
たった一言で、しっかり松田を牽制してるとこがゼロ。
「ありゃ、本気だな」
「あの降谷ちゃんから、まさかの俺のモノ宣言!」
「あの二人、付き合って長いのか?」
「出逢ったのは小学校一年生、付き合い始めたのは高校一年生」