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*名探偵コナン* Daylight *降谷 零*

第21章 *File.21*


「材料はほぼ揃っているので、お二人ともお好きなメニューをどうぞ」

カウンター席に座った二人の前に、お冷とお手拭きを並べる。

「有難うございます」
「蘭ちゃん達は?」
「和葉らと女子会や」

そこには、園子さんと赤井の妹も含まれるのだろう。

「だから、男二人なの?」
「そういうこと。雪乃さんは仕事帰り?」
「ん、今日は定時上がり」
「…にしても」
「どうかした?」

頬杖を付いたまま、工藤君の視線が行き来する。

「ホント違和感ないですよね」
「僕と雪乃が、ですか?」
「もちろん」
「なんや二人は電撃結婚でもしたんか?それとも今流行りの交際0日結婚とか?」
「電撃結婚。ではあるな」
「傍から見たら、そう言われても仕方はないんでしょうね」
「だよねー。私達、実は幼馴染なのよ」
「なるほどな」
「彼も、ね?」
「「彼?」」

同時にポアロのドアが外側から、また開いた。

「お邪魔だったかな?」
「いえ。俺達は食事に来ただけですから」
「だったら、遠慮なく」
「今日は内勤だったの?」
「ああ」
「ふふっ」
「雪乃?」
「久々に見た。景光のスーツ姿」

コートを脱ぐ景光を見つめる雪乃の瞳が、乙女のようにキラキラ輝いている。のは、気のせいでは無い。

「…本当に好きですね、男性のスーツ姿」
「うん!でもイケメン限定ね!」

呆れた顔を見せても、雪乃は気にも止めない。

「ヤレヤレ。君もまんざらじゃない顔をしないように」
「オレはお前みたいに、普段からチヤホヤされてないよ」
「確かにー」
「雪乃」
「だって、ホントのことじゃんね?新一」
「…否定は出来ないな」
「工藤君、君もかい?」
「…だから、自覚してって何時も言ってるのに」
「!」

ため息を付いた時、隣からポソリと吐き出された言葉に目を見張る。

「変わらないな」
「…景光?」
「大丈夫。お前は誰よりも可愛いよ、雪乃」

カウンター越しに雪乃の前に座っている景光が伸ばした手のひらは、顔を上げた雪乃の髪を優しく撫でた。
それはとても慈愛に溢れた兄としての笑顔と、柔らかな声で。


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