第18章 *File.18*(R18)
「……!?」
平日の夕方の、ほぼ満員電車。
慣れない人の多さに、人酔いしそうデス。
やっぱり通勤は車が一番……って、えっ?
ち、痴漢っ?!
今絶対にお、お尻触られてる!!
イっ、イヤぁああああぁああッ!!!!
その瞬間、全身に鳥肌が立って、見事に身体が硬直した。
タイトスカート越しに、大きな手のひらがお尻を撫でてる!
気の所為と思いたいけど、これマジなヤツだ!!
零に、身内や知り合い以外の他人に触られることに対しての酷い嫌悪感。
ただただ、気持ちが悪い。
嫌な意味で、心臓がバクバクしてる!
れ、零ーっ!!
どっ、どうしたらいい?!
声を出す?!
この場から逃げる?!
でも、車内は混んでるし!!
こういう時って、どうするのが一番いいんだったっけ?!
私は一体どうしたらいいんですかっ?!
「現行犯逮捕しますか?」
「っ!?」
「証拠として、写真も撮らせていただきましたよ」
「…昴、さん?」
私の斜め後ろにいたらしいスーツを着たサラリーマン風のオジサンの手首をきつく握り締め、更にその腕を捻っていたのは、沖矢昴だった。
「はっ、離せっ!」
「離すわけがないでしょう?」
「ぬ、濡れ衣だ!」
周囲にいた乗客が私達三人から素早く離れて静まり返り、酷く冷めた白い目でオジサンを見ている。
「詳しい話は、次の駅で降りてからにしましょうか?」
「有難う、ございます」
心の底から、安堵のため息が洩れた。
「すみません。もっと早くに助けられたらよかったんですが」
「いえ、十分です。いざ、自分の身に振りかかったら、身動きさえ出来きなくなるものだと初めて知りました」
普段は車移動ばかりだから、滅多に電車には乗らない。
「貴女にもそんなか弱い一面もあったとは、意外ですね」
呑気にウインクしてる状況ではありません!!
「人を何だと思ってるんですか?」
「逞しく勇ましくもある、女刑事さん。でしょうか?」
「けっ、刑事だとっ?」
「何なら、警察手帳をお見せましょうか?」
「……」
それ、貴方が言うセリフじゃないから!
そういう自分はFBIでしょ!!
もう!自分のことは高い棚に上げて!