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*名探偵コナン* Daylight *降谷 零*

第13章 *File.13*


「飲むか」
「有難うございます」

内勤中の午後、カップ入りのカフェオレを差し出されて机から顔を上げると、直ぐ横に先輩刑事が立っていた。

「ふぅ」

腕時計に視線を移せば、ちょうどオヤツの時間。

「あんまり根詰めんなよ」
「大丈夫ですよ。で、どうかしました?」
「あー、まあ、うん」
「ふふ。もうバレちゃいましたか?」

歯切れの悪い彼の視線が左手を映したままで、思わず笑ってしまった。

「まあな。お相手は、アイツか?」
「あら、ヤダ。何で、みんなワラワラと集まって来るんですか?」
「ちゃんと直ぐ報告しろよ」
「水臭いぞ」
「おれ達は今日、昨日の仲じゃねえだろ?」
「……」

ポン、と、髪を撫でられて俯いた。
だから、黙ってたのに!

「お祝いぐらい、ちゃんと言わせてくれよ」
「一生に一度の、祝いだろ?」
「ゔっ」

ほら、涙腺緩んだー!

「相手は、ポアロのあの金髪兄ちゃんか?」
「…ふっ」

なんか、不良青年みたいな言い方。
実は私達の上司で、中身は根っからの真面目人間なんて言っても、きっとみんな信じないだろうな。

「お嬢、泣いてんのか笑ってんのか、一体どっちだよ?」
「…どっちも」
「お嬢らしいな」

指先で涙を拭きながら顔を上げて、椅子から立ち上がる。
そこには、普段のイカつい表情からは想像出来ないぐらいの、彼らの優しい素顔が揃っていた。

「一昨日、入籍しました。彼とは幼馴染なんです」
「「「幼馴染?」」」
「はい、小学生からの。つい最近まで、諸事情で離れていたのですが、やっと再会出来ました」
「…お嬢」
「はい」
「幸せ、か?」
「もちろんです!」

大きく頷いて笑ったら、

「「「!!」」」

みんな揃って、息を呑んだ?

「?」
「うん、うん」
「それならいいんだ。お嬢…」
「「「結婚、おめでとう」」」
「有難うございます!これからも宜しくお願いいたします」
「これからも遠慮無しにビシビシ行くからな?」
「お、お手柔らかにお願いします」
「お嬢が幸せなら、おれ達は何も言うことはない」
「そういうことだ」
「はい!」
「でもやっぱり…」
「気分的には、娘を取られた…」
「父親になるよなー」
みんな揃って、しょぼーんに見えるのは気の所為ではない、みたい。


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