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最果ての夢【NARUTO短編集】

第5章 愛の月読【うちはイタチ中編】



夜の木の葉の里を歩いていた。


イタチのこと、一族のこと、不安に思うことは多くあったけど、この里をこうして眺めていると、そんな悩みが、軽くなるような気がするのだ。そしてその度に、自分の里への思いを実感する。


少し気が晴れたので、もう帰ろうと集落へと足を運ぶ。自分の家の近くまで着いて、瞬時に気配を殺す。


人の気配を感じた。


こんな時間に一体誰なのか、と警戒心を抱いていると「俺だ」と聞き慣れた声に肩の力が一気に抜けた。


「こんな時間にどうしたの?」


久しぶりに見るイタチはやっぱりどこか雰囲気が違かった。身長が伸びたせいかな?それとも髪が伸びたから?色々と考えるが、どれもしっくりこなかった。

目の前のイタチはなんだか凄く大人に見えた。



「久しぶりにナナミの顔が見たいと思ったんだ」



意外な返答に驚く。まさかイタチも私と同じことを考えてくれていたなんて。嬉しいはずなのに、どうしてか、胸騒ぎが消えてくれない。


「…俺が怖いか?」


何も言わない私にイタチは小さく呟いた。なんてことをイタチに言わせてるんだろう。そんなことない。彼の手をぎゅっと握れば、イタチは肩を震わせた。あの時と比べて、大きくなった彼の手はすごく冷たかった。



「怖いはずがないでしょ。イタチは何も変わっていないって私は信じてるから。…シスイさんのことだって」



イタチはもたれかかるように、私の肩に額を乗せた。


初めて見た彼の弱った姿に、どうしていいのか分からず背中に腕を回してあげることしかできない。身体は震えていて、支えてあげないと今にも壊れそうだった。


会っていない間に、イタチはこんなにも抱え込んでしまっている。何がそうさせているの。うちはの血があなたをこんなに苦しめているの?


聞きたいことは山ほどあるのに、今のイタチにそんなこと聞けそうになかった。


何も言わないイタチの頭を優しく撫でる。


「一人で抱え込まないでね」

「……」


そんなことしか言えなかった。






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