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最果ての夢【NARUTO短編集】

第5章 愛の月読【うちはイタチ中編】


イタチと私は10歳になった。


10歳になったイタチは中忍へ昇格し、その半年後、暗部に入隊した。暗部入隊の理由を聞けば、影から平和を支えたいとイタチらしい答えが返ってきた。


ここ最近、うちはの大人たちの様子がおかしい。もともとうちは一族は勘の鋭い一族であるからか、大人たちのピリピリとした空気に私は居心地の悪さを感じるようになった。


そのことをイタチに告げると、「今話したようなことは、あまり人に言わない方がいい」と注意された。なぜか、と聞こうとしたが、きっと私の勘が合っているからなのだろう。




一度、火影亭へ行った際に、火影室で暗部のお面をつけた忍が三代目様と話していた所を見たことがあった。お面をつけているせいで顔は見えなかったけど、すぐにイタチだと気付いた。


冷徹な雰囲気に、あのお面が呪いのように、彼の感情を消し去っているのではないかと少し恐怖を感じた。



暗部での任務を多く任されるようになったイタチとは、徐々に関わることが減っていった。







それからしばらくして、うちはシスイが身投げしたという報告を耳にした。


シスイさんとは一度話したことがあった。


昔に、イタチと甘味処でお団子を食べていた時に、シスイさんとたまたま遭遇したのだ。その時は、恋人同士だと勘違いされて、「イタチをよろしく頼む」なんて、とんでもないことを言われたのだ。


顔を赤くする私に、初々しいなぁと笑ってみせたシスイさんが脳裏に浮かぶ。同時に、シスイさんの親友であったイタチが脳裏を横切った。


イタチが今、何を思っているのか想像がつかなかった。
彼はまた、遠いところへ行ってしまうのだろうか。




イタチがシスイを殺した、という噂が流れるようになったのはそれからすぐの事だった。そんなことあるはずがないと信じて疑わなかったけど、どうしても今のイタチとちゃんと話がしたかった。



イタチは何も変わっていないと、そう自分の目で確かめたかった。



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