第5章 愛の月読【うちはイタチ中編】
そんな私にイタチは驚いた表情を浮かべる。だけど次の瞬間、イタチは少しだけ泣きそうな顔を見せた。初めて見る彼の姿に、胸が締め付けられそうだった。
「ありがとう…」
イタチは私の気持ちに応えるように、私の肩を抱き寄せた。彼の胸に頬を寄せれば、ドクンドクンと一定の心音が聞こえる。
生きている。私たちは生きている。生きている私たちが、死んだ者の想いを受け継がないといけないのだ。
写輪眼の本来の力を得るには、これ以上の悲しみを背負わなければいけないのかと自分の血を恨んだが、イタチと共にいれるのであれば、乗り越えられる気がした。
イタチの信じる未来のためなら、なんでも受け止める。
その言葉に偽りはない。それが例え、どれほどの犠牲を生もうとも、イタチの願う未来のためであれば、本当に受け入れられる気がした。
イタチの目にはこの世界がどう見えているのか。
写輪眼を手に入れて、私はようやく彼と同じ目線に立てた気がした。