第32章 感情、行方不明
椿はぽーっと快感に溺れ、瑞に抱き着いた。
「アッあっ……あぁッ……、瑞好き……好き好きぃ」
唇を突き出し、ちゅっちゅっと頬に触れさせては子猫のように甘える。
「瑞〜……」
瑞が椿を見れば、ふにゃりと笑って胸元に顔を擦り寄せた。
「あー……あの、椿さん、椿さんと仲直りしてくれます……か?」
「うんっ! ボク、いい子?」
元気よく頷き、きゃるんと可愛らしく小首を傾げる椿。
「……はい……」
瑞の言葉に椿は嬉しそうにはにかみ、首筋に腕を絡める。
「ボク、瑞が他の人と仲良くしててももう前みたいに嫉妬したりしないからね? 瑞だけのいい子だもん、安心してねっ」
どんどんとんでもないことになってきているな、と他人事のように思いながら瑞は天井を見上げた。