第1章 childhood days
流れた涙も構わず目を開けば、
「だ、大丈夫か!?」
『ふ、ぇ?』
「何で泣いてるんだ?っていうか、ここどこだ?イグニール居ねぇし」
そう言いながらも、優しく私の涙を拭ってくれる桜色の髪の男の子。
唐突に現れた彼に驚いて、声が上手く出ない。
でも、彼の名前は知っていた。
『ナツ…』
「は?なんで俺の名前知ってんだ?」
『い、イグニールが…』
「イグニールを知ってんのか!?」
その驚きと期待が入り混じった目に、きゅっと胸がしめつけられた。
ナツはイグニールがどこへ行ったか知らないんだ。
チェリアーナやイグニールと再会出来るその日まで、ナツと一緒に居ないと…!
『知ってるよ!
私を育ててくれたドラゴンのチェリアーナと仲良しなの。
私はミア。よろしくね』
「おお〜!チェリアーナ…聞いたことあるような、ないような…
ま!とりあえずよろしくな!
一緒にイグニールとチェリアーナ、探そうぜ!」
『う、うん!』
手を差し出され、それに掴まり立ち上がる。
ナツに触れられた頬や手が熱い。
ニヒッと笑いかけられて、さらに身体中が熱っていくのが分かった。
なに、これ?
横目でナツを見れば、イグニールを呼びながら歩き出しており、何も気にしていない様子だ。
これは…イグニールに対するチェリアーナの感情?
いや、それよりも…
『ナ、ナツ!そっちじゃなくて…こっちに行ってみない?』
「いいけど、なんで?」
『なんとなく、だけど、この場所知ってる気がして…
私の知ってる場所なら、こっちに行けば人の町があるの!』
「おお〜、情報収集か!そうしようぜ!」